第11章 視感。
「…これでOK。連絡はできた。」
ため息まじりに2人に報告すると、赤葦くんと灰羽くんはにやり、笑った。
「じゃあ、はじめてもいいですか?」
そう言ったのは灰羽くん。
ぎしり、と椅子を鳴らしながら座ったのは赤葦くん。
「…それが動画と写真を消す”条件”だからね……」
乗り気ではないけれど…
そう呟いた声は2人に届いたのか届いてないのか…
私にはよくわからない。
ーーーーーー
「はあっ⁈」
ネオン街の裏路地。
素っ頓狂な私の声が響く。
「今の、聞こえませんでした?」
「いや、聞こえたからこその反応だとは思わないの?」
赤葦くんのスマホにある動画と写真を消す。
そのための条件として、あることが提示された。
された…んだけど……
「俺は構わないっすよ?」
「はいばくんっ⁈」
赤葦くんの提案に灰羽くんもOKを出してしまった。
ってことで残るは私の返事待ちってことな訳で…
「でもさ…流石に無理よ…
灰羽くんと私の……えっち…みたい……なんて…」
赤葦くんからの提案は、私と灰羽くんとのセックスが見たい、というもの。
本人が言うにはおさわりなし、本当に見るだけなんだとか。
「椎名さんが恥ずかしがってる顔が好きなんです。
恥ずかしがりながらも感じてるとか…それだけで何回もイけます。」
なんて真顔で言うもんだから、あ…これ本気だ…と思った。
「まあ、その場でオナニーくらいはするかもだけどかけたりはしないんで安心してください。」
いやいや、安心とかそう言う問題じゃないんだけど…
深く溜息を吐きながらどうしようか悩んでいれば頭上から灰羽くんの軽い声。
「いいんじゃないっすか?」
この話中、ずっと私を後ろから抱きしめていた灰羽くん。
かるーく了承したかと思ったら、そっと私の耳元で囁く。
「だって椎名さん、見られるの好きですもんね。」
知ってました?ホテルより会社でスる方が感度いいの。
くすりと笑う声に、ぞくり、体が震える。
「ね、いいでしょう?俺椎名さんとシたい。」
そう言って私の腰に押し付けられたソレは全開…とまではいかないものの、スラックス越しに形がわかるくらいにまで成長していた。
「…っ、今回だけよっ!」
上手くノせられたなと思う。
でも、誘惑には耐えられなかった。