第6章 -プラトニックデート-(及川徹)
ピロン♪
"やっと終わった‼︎今電車。"
"お疲れさま♡電車混んでる?"
"いや、今日は空いてるほうかな"
徹は、外回りが資本の営業部。同じ会社でも総務部のわたしは、上司だけが出勤して、この間からテレワークをしているので、基本は家から出ていない。徹と会うのも自粛中。土日は電話もするけど、平日はなかなかできなくて、毎日のLIN◯のやりとりが最近の一番の楽しみ。
"すみれは仕事どう?"
"いつも以上にメールと電話がひっきりなしで今日はクタクタ"
"徹に会いたいよーう♡"
"オレも会いたい♡"
遠恋ってこんな感じなのかな…近くにいるはずなのに会えなくて淋しくてしかたない…。
"ね、じゃあさ、お願いがあるんだけど…"
"なぁに?"
"今電車だから、なんか元気が出るすみれの写メ送ってー。"
"どんなー?"
"…すみれの上半身とか♡"
ん…?それって…
"おっぱい見えてるやつ♡"
"そんなの却下‼︎恥ずかしい‼︎"
"ブラしてていいからさー♡"
"恥ずかしいなら、顔写さなくてもいいから。"
…‼︎
連投でまた徹が送ってきた内容を見て、思わず顔をしかめてしまう。
…それなら、わたしじゃなくていいじゃん…
さっきの会いたいっていうのもウソなんだ…
ただ、性欲溜まってるだけじゃん…
一気に虚しくなって、徹に返信するのもやめて、放置していた洗い物を片付けるコトにした。
好きな音楽かけてもテンションはだだ下がり…
わたしは声聞けるだけでも嬉しいのに…
徹は違うんだ…
〜♪〜♪
洗い物を片付けてリビングに戻ると徹からの着信…
まだ少し怒ってるけど、徹と話したい気持ちに負けて、出てしまう。
「すみれ‼︎ごめん‼︎怒ってる?」
「…どこぞのグラビアアイドルの写メでも送りつけようと思ってた。」
「うわー‼︎ごめんてばー‼︎てか、すみれじゃなきゃ意味ないんだよ?わかってる?」
「でも、イヤなものはイヤー‼︎」
「あ♡今のイイかも♡」
「は?」.
「"イヤー"ってやつ♪久々に耳元で聞いたからかなー♡」
「…っ‼︎…どんだけ溜まってるの?」
「すーーんごく♡だから、覚悟しといてよね♡」
電話でよかった…
徹の声が挑発的で色っぽくて…わたしは一人で真っ赤になっていた。
---End---