第16章 謎の女性
いつのまにか、その場から逃げ出してた
なぜか、恐くて……恐くて、
「ちょっ、さん!」
私の手を掴んだのは翔くんじゃなくて、二宮さんだった。
「待ちなさいよ、もぉ…ホントに…」
『ご、めん……なさい……っ……』
「なに、泣いてるんですか?」
そう言われて気づく。
完全に涙が溢れでていて、止まらない。
「逃げないでよ」
『え?』
「あの女から絶対逃げちゃだめですよ
翔さんを助けてあげて?」
二宮さんは私の頭を撫でながらそう言った
どういうこと?
翔くんを助けるって……?
「翔ちゃんとちゃんと話しなさいよ?」
『……はい……』
きっと理由があるはず。
そんなのわかってる。はずなのに、
どうしてもあの優しい微笑みがそうさせない
翔くん、どういうことなの?