第10章 それは甘く、強く
ガチャっ
『は、はーい』
〈あら、ちゃん〉
『あ、大家さん…どう…え?
け、けんちゃん?』
家の前にいたのはうちの大家さん
そして大家さんが抱いてるのは、
私の大切な存在である"けんちゃん"
〈ふふっ、けんちゃんね?
うちのベランダにいたのよ~〉
"ミャ~"
そのけんちゃんの鳴き声にホッとした。
〈ご主人様に相手にされてなくて、
けんちゃん怒っちゃったのよ~ねぇ?〉
なんて大家さんはけんちゃんを私に返しながら、けんちゃんにそう問いかける。
その答えは"ミャ~"
『…そっか、そっか。ごめんね?
大家さん、ありがとうございます』
〈いいえ。いいのよ。じゃあね〉
そう言って帰っていった大家さんを見て足を引きずりながら部屋に入っていった。
ガチャっ
『はぁ…本当に心配したんだからね?』
なんてけんちゃんを叱ってみる。
まるで子供みたいに、
『櫻井さんにまで電話しちゃって…』
でも、こんなこと何回もあったはずなのに
私なんで櫻井さんに電話しちゃったんだろ
しかも涙なんてたくさん出して、、
『私…変なのかな…迷惑…だったかな』
"ミャ~"
『ん、そっか。わかんないか…』
けんちゃんの真っ白な毛を撫でると、
腕をすり抜けてリビングにいった彼
ほんと、気まぐれだよね~
ピーンポーン!ピーンポーン!
『え、なに…』
急に何度も鳴るインターホン
『は、はーい…』