第10章 それは甘く、強く
ガチャっ
宮島さんに怒られながらも送られて、
私は自分の家に帰った。
痛み止めが効いたのか足も良くなった。
櫻井さん……心配してたな…
なんて思いながらもリビングに向かう。
『ん、けんちゃーん。帰ったよ~』
もうすぐ来ますよ。
私にとって大切な存在である彼が、
って、あれ?来ない…?
『けんちゃーん、どこ行ったの?』
いつもはそう呼べば来るはずなのに、
なのに、なんで…
『いない…けんちゃん?』
いつはずの彼はどこかへ行ってしまった。
気まぐれだけど、
部屋からは一切出ないはずなのに…