第8章 桜舞うなかの温度
櫻井さんとタクシーで来たのは、
たくさんの桜が咲く桜並木だった。
完全にライトアップは終わってるけど、
満月の光がいい感じに入ってきてる。
「寒くない?」
『はい、大丈夫です』
そう頷くとまた微笑んで歩きだす。
さっき、はるさんを見つめる櫻井さんを見たときひとつのことを思った。
たぶん、櫻井さんは好きだったんだ。
はるさんのことが、、
『櫻井さん?』
「……っ…あ"~ごめん…止まんないわ…」
私の前を歩く櫻井さんの肩が震えてる。
きっと、泣いてる。
『櫻井さん…』
「嬉しくってさ…っ…」
『…そうですね』
きっと、はるさんの妊娠が
あんなことがあったからこそ嬉しいんだ
自分のことのように泣いてる櫻井さん
「実はさ…初恋の…っ…人だったの」
『やっぱり…』
「え?…っ…気づいたの?」
『はい、まぁ(笑)
櫻井さん、分かりやすいんですもん』
なんて言ってると、
櫻井さんが私の方を振り向いた。
その顔は満月に照らされて、
頬に伝う涙が綺麗に見える。
『綺麗な顔…』
その瞬間、桜の花びらを包むように…
私は櫻井さんに抱きしめられた。