第18章 幸せの選択
「ん……」
翔くんが目を覚まして、
私の方をチラッと見て微笑んだ。
『翔くん……っ……大丈夫?』
「う……ん、ここ病院?」
『うん、そう。倒れたんだよ?
ストレスと疲れからだって…働きすぎだよ』
「……ごめん……」
そう言いながら私の頬に
優しく左手で触れてくる翔くん
『翔くん……好きだよ』
「……ちゃん?」
『あなたに会えて幸せだった…っ…』
もう泣かないってさっき決めたのに、
やっぱり出てきてしまう涙
『翔くん以上なんていない…っ…』
「…………うん…っ…」
『でもね、ちょっと疲れたみたい』
頬に伝う涙を拭いて、笑顔でそう言う
『別れよう、翔くん』
あなたの幸せが私の幸せだから。
これが一番の選択だと思うから……
『翔くん……最後に…抱きしめて?』
なんでこんなこと言ったんだろう。
悲しくなるだけなのに……なのに
「っ……っ……おい、で?」
『うん……ありがとう……っっ』
その温もりは一生忘れない
ありがとう、翔くん
さようなら、翔くん