第1章 荒野に芽吹いた花の名は【信長】
「では貴様の言う通り、貴様を力でどうにかするのは金輪際止める。」
押してダメなら引いてみる。
人の心を掌握するにも、戦においても
それは基本中の基本である。
「その代わり、この俺と己を賭けて勝負せよ。」
美蘭は、俺が引き寄せた碁盤を、
きょとんとした顔で見つめながら言った。
「囲碁…ですか?」
「そうだ。俄然、貴様が欲しくなった。だが力づくでは貴様は手に入らんようだからな。正々堂々戦う場を与えてやる。さすれば、貴様の言う通り平等であろう。」
何故か…
此奴は、
力づくで従わせるだけでは物足りん。
此奴が、
此奴の心で、この俺に擦り寄る姿を見てみたい。
「そんな!…わたし…囲碁なんて知りません!」
「そうです!御館様と素人が勝負など…」
「黙れ。やり方など俺が教えてやる。この勝負受けるか、牢に入るかどちらか選べ。…牢に入ればわーむほーるとやらに近づくことは叶わんだろうが。好きにするが良い。」
「そんな!どこが平等なんですか?!」
真っ赤な顔で吠えていた美蘭であったが、
己がどうするのが得策であるか、
見極める力は持ち合わせておったらしい。
賭けをすることになった。
秀吉を下がらせ
囲碁とは何たるかを教えてやり、
勝負。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*
「………参りました。」
当たり前だ。
俺は心底ほくそ笑んだ。
本来なら、
すぐにでも全てを差し出させたいが。
「今宵からこの手は俺のモノだ。」
まずはこれくらいにして、様子を見てやろう。
細い腕を引き寄せ
俺のモノとなった腕や手のひらに
ねっとりと舌を這わせてやれば
「…っ…ふ…っ。」
漏らした吐息は、
交わりを思わせるような色香を含んでいた。
「悪くない反応だ。」
男根もすぐに熱く反応したが、ここは辛抱。
そう遠くないいつか。
俺に完敗し、心身ともに自ら開いた貴様を
めちゃくちゃに抱いてやる。