第27章 飴細工 後編※R18
俺の腕の中で、口づけを受け止めるひまりを、薄っすらと目を開けて盗み見る。
潤んだ瞳。
濡れた赤い唇。
ほんのり色付いた頬。
小刻みに震える白いうなじ。
(……兎みたいだ)
ひまりが今日着ている浴衣も、さっき食べていた飴も全部うさぎで……
(甘い……)
「い…え、やす」
ひまりの何かを求めるような声と、甘い唇に眩暈を起こしそうになる。結い上げた髪が少しだけ頸に垂れ下がっていて、より一層色香を増している。
俺は自分の両腕を木に預け、ひまりの身体を囲むように覆う。追い詰められた兎の様に、ひまりは瞳を潤ませながら少し不安気に俺を見上げた後、胸の前で指をくっつけるような仕草をして俯いた。
「……もう……帰らないと」
「まだ、食べ終わってないんだけど」
「また、遅くなると……家康が怒られちゃうし……」
「あの人に怒られるのは、慣れているから……気にしなくていい」
それよりもこのまま、ひまりを逃す方が何百倍も俺にとってはきつい。
あんだけ大量に仕事押し付けたぐらいだし、当分は大丈夫なはず……そもそも、やっと手に入れたひまりに手を付けるななんて、無理。
(……とは、言っても流石にここでは不味いか……)
はだけた部分から覗く豊満な膨らみ。上気して浴衣と同じ色にほんのり染まった肌。こんな可愛いひまりの姿を、万が一通りかかったその辺の奴らにでも見られたら……気が狂って何するか、自分でも想像出来ない。