第25章 はぐれた心の先に…後日談
「ち、父親!!!」
「何を今更驚いておる、家康。ひまりは正式に織田家の姫になった。つまり俺と養子縁組を結んだと言う事だ」
(だから、正妻に乗り換えろとか言ってたのか)
「ひまりにも、仕置きがある。……三成あれを」
すると三成は大量の文らしきものを抱えてくる。俺はその見覚えのある光景に、悪い予感と嫌な予感がひしひしと湧いてくる。
「昨日のお披露目で、貴様の噂があっという間に広がったみたいでな、……今朝から大量の恋文が届いておる」
「文ですか??」
「まだ、正式に家康の所に輿入れした訳ではないからな……まぁ、せめて読むだけはしとけ。どっかの馬鹿みたいに、後が面倒くさくなる」
「なっ!!」
信長様はそう言って、俺の方を見てニヤリと笑う。
「……織田家の姫様って。大変なんですね」
しぶしぶ文を受け取るひまり。
何にもわかってない。
「ひまりの自覚がないのは、ある意味筋金入りだな……」
「まさか自分の美しさを見初められたなんて……間違いにも思ってないぞ、あの様子じゃぁ……」
「「お前も苦労するな」」
俺の腕を掴んでいた二人は、
同情するように肩を叩く。
「………はぁ」
肩を落として上を向けば、そこには幾度なく広がる透き通った晴れ晴れとした青空。俺の口から出た盛大なため息は、その中に消えていった。
はぐれた心の先へ……完