第161章 あなたにもう一度後日談(8)
そしてついに開催された
「戦国姫の大会」
朝からぞろぞろと各地の姫君が集まり、城の外に赤い絨毯が敷き詰められた会場へと足を進めた。そんな中、胴着に着替えたひまりも会場へと姿を現わし、凛とした顔立ちで正座をして畏まる。
信長と家康は最前列に座り、その背中を見つめ……耳をピクリ。
「ほぅ……あれが噂の、ひまり姫か。とても子がおる様には見えんな」
「誠に、美しいですな」
ヒソヒソと話す武士達の会話を聞いて、家康は眉間に皺を寄せさぞ面白くない表情を浮かべ、ギロッと視線を隣に向けた。
「……良いではないか。普通の者なら、嫁が誉められれば嬉しいものだぞ?」
「生憎、俺は嬉しくない方なんでね」
「……贅沢な奴だ」
(このまま平和に終わるのか……!)
二人はこれと言って特に衝突もなく、一週間が過ぎ、本番を迎えたことに佐助は少し残念に思いつつ自分もひまりの勇姿ある姿に目を奪われる。
「おぉ〜ど真ん中とは素晴らしい!弓術の方はひまり姫の勝利が見えてきましたなぁ〜」
誰もがそう思い、決勝戦前の休憩に席を立った。
しかし、事件はここから起こる。信長と家康の元に女中が血相を変え、現れたのだ。
「ひまり様が何者かにっ!!」
女の執念、嫉妬は……
やはりいつの世も変わらずにあったのだ。