第158章 あなたにもう一度後日談(7)二日目の昼
冬とは思えないほど、日差しが暖かく感じる中……沢山の露天や市が並ぶ場所に子供達や皆んなのお土産を買う為、私達は訪れた。
「凄〜い!色んなお店屋さんがある!」
「ここは町の中心だからね。お土産買うにはもってこいだし」
「でも、いいの?家康の行きたい所に行かなくて?」
私がそう聞くと家康は、後で行くから大丈夫。と言って着物の袂に手を入れる。私はその腕に自分の腕を絡ませ隣を歩き、気になる店を見つけては家康を引っ張りながら見て回った。
「楽しいねっ!」
「あんまり、はしゃいで転ばないでよ?」
「は〜〜い!」
ちゃんと私の歩調に合わせて歩いてくれて、時間を忘れるぐらい夢中になってても嫌な顔一つしないでくれて。
荷物もすぐ持ってくれるし、足元が危ない場所はすぐ手を添えてくれる。
「ふふっ。何か私、お姫様になったみたい!」
「なったみたい、じゃなくてひまりは現にお姫様だし」
「後は、激甘な台詞が家康の口から出てきたら完璧王子様だね!」
「……王子様?何それ。いつも俺なりに最大限の甘い台詞言ってるつもりなんだけど」
プイッと顔を横に向けて、拗ねる家康。
「ふふっ!」
(ちゃんと知ってるよ?)
甘い台詞言ってくれる時は、いつも目元が赤いから……私はそっぽを向く家康を引っ張る。
「……これ以上、私を虜にしないでね?」
そう耳元で呟き、そっぽを向いた顔を軽く指で突くと……くるり。
ゆっくり私を見た家康。
ドキッ。
「……まだ、足りない。だから、一生離さないよ」
その言葉に顔がかぁっ、と火照り一気に熱くなる。自分で言った癖に、家康の顔は私と同じぐらい赤い。
「………何て台詞言わせんの?」
「………何でドキドキさせるの?」
「……あんたら、何で人の店前で見せつけてるんだ?」
ニヤッと笑いながらお店の人にそう言われ、私達は更に真っ赤になって顔を見合わせ笑った。
「あんたら、そんなに仲良いなら夫婦の砦に行ってきたらどうだ?」
「砦……?」
私が聞き返すと、お店の人が詳しく教えてくれた。