第157章 あなたにもう一度後日談(7)二日目の朝
夫婦水入らず二日目の朝。
私はカチコチになった身体を動かし、隣で眠る旦那様の頬にキスをする。
(ふふっ、おはよう)
ぼやっ〜とした意識の中、自分の頭を家康の胸に乗せ幸せな余韻に浸っていると……。
「んっ…………ひまり?」
「あっ……起こしちゃった?」
翠色の瞳が薄っすらと開く。
でも、またすぐに閉じて……
「……まだ、眠い」
「ふふっ。ゆっくり寝てて」
「駄目……ここに居て」
私が起き上がろうとすると、腰元に手が回り、再び布団の中に戻されてしまった。
「また、……明日から……仕事が、んば……るから」
(喋りながら、寝ちゃった)
ガッチリと回された腕を解くわけにもいかず、私は再び家康の胸の中に潜り込む。もう二度と戻れないかもしれない。数日前にはその不安で、押しつぶされそうだったのに……今は凄く幸せ。
(いつもありがとう)
そっと寝癖がついた前髪に触れ、普段日常では見せない無防備な姿に思わず笑みが溢れてしまう。
「ふふっ。……大好きだよ」
「……………ばーか……知ってる」
「へっ……!」
目を瞑ったまま、口だけ動かした家康。
私は、両頬を掴み少しだけ引っ張った。
「意地悪たぬきさんは、寝言まで意地悪なのかなぁ〜〜?」
「いっ!…すぅ………」
「あっ!また、狸寝入りした!」
家康は布団を掴むと頭から被り、その中に私も入れる。
「……俺も」
そして、
甘い言葉と口づけを同時に落とした。