第155章 あなたにもう一度後日談(6)前編
鬼の居ぬ間に何とか……
まさにそんな一日の始まり。
(はぁ………)
朝から盛大な息を吐き、愛らしい姿でスヤスヤと眠る一人のお姫様を見て……時は流れてゆく。
きゅーん。
(可愛すぎますよ、時姫様)
飽きることもなく。穴が空いてしまいそうな程。ただただじっと、隣に座り私は時間を過ごしていた。
ーーくれぐれも時姫を泣かせるでないぞ、解ったな三成。
ーー勿論、承知しております。信長様も竹千代様も、どうぞ道中お気をつけて下さいませ。
ーー行ってきます!
二人は鷹狩りに出掛けられ、家康様はひまり様と水入らずの日を過ごしていらっしゃる。
(まさに二人の鬼の居ぬ間にですね)
「三成いるか?」
襖が少し開き、部屋を覗き込みながら静かに現れた政宗様。
時姫様を起こさないように、気をつけながら足を運び私の隣に座ると……
「よく寝てるな。朝餉持ってきたんだが、まだ早そうだな」
「目覚められましたら、私が食べさせますので」
「そうか?なら、頼む」
政宗様は膳を部屋に運び終わると、ゆっくりと部屋から姿を消す。