第152章 あなたにもう一度後日談(5)一日目の夜 前編
(はぁ…。やっちゃった……)
私は冷えた身体を温めるようにしゃがみ込み、頭を膝に乗せ反省する。
こんなつもりじゃなかったのに。
信長様達が折角用意してくれた、夫婦水入らずの時間。予定ではこの後、宿泊先で夕餉を済ましてゆっくり過ごすつもりだった。二人で沢山笑って、話をしようって約束したのに……。
なのに私は……。
(家康と二人だとすぐに子供みたいに拗ねて……)
やきもち妬いて……。後先なんて考えずに、右左もまともに解らない町の夜で今は一人。
本当に何してるんだろう。
家康に謝らないと。
ようやく冷静さを取り戻した私は抱えていた膝を伸ばして、ゆっくり立ち上がる。戻ってちゃんと話をしようと思い意気込んだその時……コツン。背後で誰かが小石を蹴る音が聞こえ、私はくるりと振り返った。
「みぃつけた!!」
「えっ!?」
「探してたんだ!ひまりさんのこと」
そこには見知らぬ美少年が私を見て、ニッコリ笑っていた。