第149章 あなたにもう一度後日談(4)あとがき
屋根裏に潜んでいた俺は、寝息を立てる三人の姿を確認してから隠れ屋に戻る。
「おっ!やっと帰ってきたか!」
出迎えてくれた幸村の手には酒瓶が握られ、ご機嫌の様子。俺は眼鏡を机の上に置き、疲れた身体をほぐす様に伸びをした。
「どうだ?ジジ馬鹿ぶりは??」
「……見てはいけないものを見た。まさにそんな一日だったよ」
家康公に時姫を頼まれ一日中後を付けていたが、珍しく信長様に気付かれる事なく一日目の任務終了。
野党に襲われていた時は、手助けをしようか悩んだが……見守らせて貰った。
(俺の助太刀など、全く必要なかったようだ)
流石、第六天魔王。瞬く間に敵を蹴散らす凄腕。素晴らしい戦いぶりだった。
「……頭に花を付けていた信長様を見た時は、何かを失いそうになったよ」
「頭に花!!あの赤鬼がっ!?……佐助、報告はあいつらが戻ってからにしとけ」
夫婦水入らずが台無しになる。
幸村は両手を挙げ首を横に振ると、俺に酒が入った盃を差し出す。
「そうするよ」
明日は、三成様が時姫の面倒を見ると言っていた。家康公にはそっちを重点に頼まれている。
「あの二人、馬鹿みたいにいちゃついた一日だっただろうな」
「……ほんと、羨ましい限りだよ」
ほぼヤケ酒の様に、次々に口に運び……俺は忍びの格好をしたまま、眠りについた。