第82章 〜同じ気持ち〜姫主視点
「……ひまり」
「ん?どうしたの?」
その日の夜、家康は私をそっと腕の中に引き寄せる。
「……ごめん。俺も知らない間に負担かけてた」
これからは、気をつける。
そう言って眉を下げる家康。
私は両手で頬を挟むように触れ……
「大事にしてくれて凄く嬉しいよ?」
だけど、
「私も家康のこと大事にしたいから」
気持ちは一緒だから。
「家康も無理や我慢なんかしないでね?」
家康はフッと表情を和らげ、私の唇を塞ぐ。優しく指先で髪を梳き……。
「なら、我慢しない」
(えっ……?)
突然、私の視界が反転する。
「……無理はさせないから」
私達の心は身体の熱さと一緒に、溶けていった。
〜同じ気持ち〜(完)