第81章 〜欲しいのは〜謙信様視点
俺は今、心底腹の底が煮えくり返っている……。
「け、謙信様っ!どうかご乱心はやめて下さい!!」
「ひぃっっっ!か、刀を鞘にっ!お、お願いします!!」
「……誰と誰が祝言を挙げるだと?もう一度詳しく話せ」
「あわわわっ……」
俺は青い顔で尻餅をつき、後ろに下がろうとする家来の喉元に剣先を突きつける。
「つ、使いの者からの連絡ではあ、あの姫君は既に戻って来ており、……と、徳川と明日正式に祝言を挙げるとっ……」
(……佐助のやつ、さては隠していたな)
俺は刀を鞘に収め、無残な姿になった机や書籍を蹴飛ばしながら……
「……戦の準備をしろ。城に乗り込む」
(ひまりを必ず奪う)