第70章 約束の地へ 後日談(8)※R15
「まだ、お腹小さい」
肌を重ねた後、ひまりの腹部に俺は触れながら呟く。
「今、四ヶ月だから……あっという間に大きくなるよっ!」
男の子かな?女の子かな?
と、嬉しいそうに顎に指を当て考えるひまりを見て、口元が緩む。
「ひまりに、似てたら俺はどっちでも嬉しいけどね」
「ふふっ、私は何となく家康に似てる男の子の気がするけど」
「……それだけは勘弁して欲しい」
「どうして?絶対可愛いよっ!」
「俺に似てたら……親子でひまりの取り合いになるから駄目」
俺がそう言った瞬間、ひまりは小刻みに肩を震わせ笑う。
それを見た時、一番大事なことを忘れていたことに気付き腹部に触れていた手を今度は、ひまりの顔に移動させる。
「ひまり似の女の子も、やっぱ駄目」
(こんな可愛いお姫様がもし、娘だったら……)
お嫁に行かせたくないから。
俺が真剣にそう言うと、ひまりはさっきよりも肩を大きく震わせ笑い出す。
頭の中で
一瞬だけ
ひまり似た可愛い娘を抱く
自分の姿が浮かんだことは
気のせいにしておこう、か。