第65章 約束の地へ 後日談(3)
(帰り道 佐助と幸村編)
俺と幸村は静かな城下町を歩きながら、安土にある隠れ家へ向かう。足元の影を見ていると、隣の影がゆっくりと動いた。
「それよりも、あいつらほんと、見せつけてくれたよな」
「……三ヶ月も離れてたら、仕方ないよ」
幸村と歩幅を合わせながら歩き、そう言葉を返すと腕を掴まれる。
「……なぁ、佐助。勘違いかもしれねぇけど……お前、ひまりのこと」
「…………」
「言わなくていいのか?あいつが祝言あげる前に……」
まさか、まだ自分でも薄っすらとしか見え始めていない気持ちに、幸村が気付いていた事に驚いて……俺は足を止める。
「……彼女は、まだ彼に出逢っていない頃から……惹かれてたんだよ」
「は?……何、意味わかんねーこと言ってんだよっ」
俺は河原に映る月を見ながら、
彼女に出逢った時の事を思い出す。