• テキストサイズ

イケメン戦国〜天邪鬼な君へ〜

第46章 約束の地へ(1)




ピッ、ピッ、ピッ……。



機械音が耳に届く。



瞼をゆっくり持ち上げると、白い天井が見えた。



(ここは……)



少しだけ首を横に動かす。

すると、すぐ近くで誰かが駆け寄ってくる足音が聞こえて……白い制服を着た看護婦さんが、心配そうに私の顔を覗き込む。



「……何処か痛むとこありませんか?」



私はゆっくり首を振る。




(……ここ、病院だよね)




「あなた雨の中、意識を失っていて……緊急でここに運ばれてきたんですよ」


見た所、外傷はないようでしたが中々意識が戻らないから心配で……。看護婦さんは言葉通りの表情をして、私の手を取り脈を測った。




「何か覚えていますか?」




(確か私は……)




「……就職のお祝いに……一人で観光旅行に来ていて………」





(それから……それから……)









「……すいません、それ以外は何も……」








覚えていません。






そう、答えるのと同時に……


瞳から熱いものが流れる。






(あれ?何で私……泣いてるの?)






自分でもビックリして起き上がると……




シャランッ……。




片方の耳から、切ない音が聞こえた。




/ 636ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp