第42章 捕らわれた未来(15)※R18※
「……一緒に入るために貸切にしたんだけど」
後ろから抱き締められ、そう耳元で囁かれ、背中越しに硬い家康の胸板があたる。
ドクンッ……。
ゆっくり首だけ振り返ると、お湯に浸かっているせいか家康の目元がいつもり赤い気がして……心臓が飛び出そうな程ドキドキしてしまう。
「……んっ…家康……」
顎を持ち上げられ、舌を絡め合いながら唇を重ねる。家康は私の髪を掬い、指を絡めながら頬に口付けを落とす。
「……あいつが触った所、全部消毒する」
(えっ……)
身体に回された家康の腕が少しだけ震えている気がして、胸がぎゅっと切なくなる。
一房切られた髪に指先が触れ、赤い痣が出来た腕。そこに家康は優しい口付けを落とすと、今度は不意に後ろから手で足をなぞり上げた。
「んっ………」
首筋から鎖骨。順番に口付けされ、湯浴み着の上から胸を揉まれる。
「まっ、て……そこは触られて……」
「……一瞬でも触れたかもしれない」
背中越しで表情は見えない。けれど、その声には怒りと不安が混じっているのが伝わる。
私は振り返り、さっきまで恥ずかしくて向けれなかった身体を家康の正面に向ける。
「ご……めんなさい。私が油断なんかっ、するから」
再び溢れそうになる涙を堪えながら、家康の顔を両手で包み込む。
「でもっ、私が触れて欲しいのは…家康だけだから……私が好きなのは……家康だけ、だから」
だから……。
少しでも家康が安心出来るように、伝える。すると家康は目を伏せ私を力強く抱き締めた。
「ひまり……今日は……」
壊れるぐらい、抱いてもいい?