第1章 はじまりの時
第一章「はじまりの時」2017.03.06
今、時を___
「危ないっ!!」
眼鏡を掛けた男性が、
突然振り返り声をあげる。
それとほぼ同時に頭上に稲妻が走るのが見え、私は衝撃から身を守るようにして……
その場にしゃがみ込んだ。
次の瞬間。
ドォーーン!!!
耳をつんざくような凄まじい音。突如現れた黒い靄のような漆黒の空気。言葉には表現し難いモノが辺りを一気に包み込むのが見えて……
私の意識はそこで途切れた。
(…………ここは一体……)
意識が呆然とする中。鼻に届いた焦げ臭い匂いと、急激に熱くなった身体の違和感。それに肌は耐えきれず、恐る恐る目を開けてみる。
まだはっきりしない意識の中。ボヤけた視界が徐々に明るくなり、私はゴクリと喉音をたてながら息を呑み込んだ。
ゆらゆらと、燃え上がる炎。
肩から血を流し、
ゆっくりと倒れ込んだ一つの影。
その者のすぐ近く、刀らしきモノを握りしめているもう一つの影。頭より何よりも先に足と手が動いた。
「立って!!」
「……き、貴様はいっ…たい」
「とりあえず、早くっ!!」
それからどうやってその場を離れたのかは、全く覚えていない。頭の整理している暇なんかなく、ただがむしゃらに森林の中を走った。
まさか自分が今、
500年前の世界に居て……
タイムスリップした場所が
あの有名な「本能寺の変」
だったなんて……
そして___
「不撓不屈……」
「不本意だけど、あんたの命は俺が……」
「弱い奴には興味ないから」
「むやみに関わらないでくれる?」
「鬱陶しい」
あなたと出会い
あなたに恋をするなんて……
あの時のあの頃の私に言ったら、きっとびっくりしすぎてどうにかなっちゃうんじゃないかな?