第3章 虎、退ズ
少し悩んだ後、私は短刀の一振りを選ぶことにした。
きっと彼らなら無邪気に会話してくれそう。
あわよくばこのシステムについて、何か聞けるかもしれない。
そんな打算的な考えの元、私は使い慣れた五虎退を呼び出す事にした。
暗転後に現れる五虎退。
「あ、あるじさま・・・こんにちは」
彼の可愛らしさはいつも通りだ。
だけど、足元の虎がめっちゃ動き回ってる。
「初めまして・・・じゃないね。こんにちは、五虎退」
「あるじさまとお話しできるなんて、僕、とっても嬉しいです」
無邪気な彼の笑顔に思わず私の顔にも笑みが広がる。
でも・・・それ以上にせわしなく動き回る虎達が気になって仕方がない。
「五虎退の虎くん達・・・元気、だね」
「は、はい、あ、だめですよ、あるじさまの前なんだから大人しくしないと・・・!」
頭に乗っていた虎が、爪を立ててジャンプしたのか五虎退がうめき声をあげる
「うっ・・・こら、だめだって・・・!」
「五虎退・・・大変そうだね・・・」