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【イケメン戦国】時をかける妄想~

第12章 二人の宝物 三章


天守までの廊下を信長と凛は
手を繋ぎ、ゆっくりと歩いていた。

「良い一日でしたね。」

「ああ。」

他愛ない会話が二人が纏う空気を
柔らかくさせる。

天守の襖を開け、部屋に入ると
お酒で火照った顔を優しい風が撫でた。

「来い。」

信長に導かれるまま、二人で
安土城下を照らしてぽっかりと浮かんだ
丸い月を見上げる。

「綺麗ですね。」

「そうだな。」

暫く静寂が二人を包み、
心地よい空気が流れる。

「凛‥。」

繋がれたままの手に力が込もる。

「俺はこの先も貴様を手放すつもりはない。」
無論、徳もだ、と信長が笑う。

「貴様らは俺の傍で笑っておれば良い。」
邪魔するものはねじ伏せる、と
少し拗ねたように話す信長に
凛は優しく語りかける。

「徳もきっと素敵な恋をします。」

それは、信長様や私や周りの人に
たくさん愛されて育って

愛する喜びを知るから。

「信長様が私を愛してくれたように」

あの子を心から愛してくれる人が、
あの子が心から愛してると想える人が
きっといつか現れる。

「だって、あの子は私達の宝物ですから。」

「宝‥。」

ふふふっと凛が微笑む。

「そうですよ。」
大事な大事な宝物です、と
幸せそうに微笑む凛を見て
信長もフッと微笑んだ。

「‥そうだな。」


天守に夜の風が吹き抜け、
部屋に飾られた花が揺れる。

織田家のお膝元らしく渡来してきた
南蛮の美しい真紅の花。

徳姫が父の為にと摘んだ花はグズマニア。





花言葉は――――「理想の夫婦」

新しい宝物の誕生と、
愛しい宝物の成長を祈り

時をかけて愛を貫く夫婦を
風に揺られ静かに見守っていた。


end.
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