第9章 妖刀「猫柳」
「おやっさん、こんにちはー」
「おう!山崎くん久しぶり」
場所は刀加治屋町。
山崎は非番の今日、
刀のメンテナンスにやって来た。
「おーこりゃあだいぶ刃こぼれしてるな。
相変わらず真選組の戦い方は加治屋泣かせだぜ」
そう言っておやっさんは刀をまじまじと確認する。
「こりゃちっと時間がかかる。3日後取りに来てくれ。そうしたら綺麗に元通りだ。それまでそこにある刀、好きなの使ってくれ」
おやっさんが指差す先にはたくさんの種類の刀が
壁に収まっていた。
「この刀は?」
たくさんの刀の中、一際キラリと光る派手な刀を
カチャリと手に取った。
「あーそいつは辞めておけ。
いわゆる、『妖刀』ってやつだ」
「よっ妖刀…!」
こっこれは取り憑かれるパターンのやつだ!
トッシーの件で妖刀のヤバさは目の当たりにしている。
あの副長でさえ取り憑かれたんだ
俺なんて取り憑かれたら二度と戻れない!
くわばら、くわばら
「この隣の地味な刀にします。
じゃあ3日後取りに来ますね」
「あいよ」
おやっさんはカンカンと刀を叩きながら
山崎に背中を向け返事をする