第12章 雨の日も悪くない【伊月】
伊月「はぁ、やっと終わった。」
俺はやっと先生から解放され、帰ろうと昇降口へ向かった。
すると、昇降口に誰か立っていた。
伊月「?」
『え?…あっ、伊月先輩!!』
そこに居たのは部活のマネージャーであるだった。
伊月「どうしたんだ?」
『それが…。』
どうやら彼女も日直で遅くなったらしい。そして帰ろうとしたところに雨が降ってきてしまったということだった。
困っている彼女を放っては帰れず、俺が持っていた折りたたみ傘に彼女も入れてあげた。
それにしてもこの距離はヤバい。
自分で誘っといたくせに今さらになって緊張するとか。
彼女もずっと下を向いたままで、何も言わない。
と、とにかく会話しなくちゃ。
伊月「ご、ごめんな小さい傘で。」
『だ、大丈夫です。それよりご迷惑をおかけして、すみません。』
伊月「いいって、全然迷惑じゃないし。むしろ嬉しいし。」
『えっ…?』
伊月「あっいや、その…嬉しいっていうか、なんていうか…。」
『わ、私も…。』
伊月「へっ?」
『私も…嬉しい…です。』
伊月「。」
『伊月先輩。』
俺達は雨に濡れていることも気にせず、どちらからともなくキスをした。
昔から雨の日は嫌いだった。けど、今日好きになった。
だって君と両想いになれたし、俺にとって初めてのキスをした日だから。
次の日2人は風邪をひきました。
伊月「ハックシュンッ!!」
『ゴホッゴホッ!!』