第8章 祭
とうとうその日。
私は朝からドキドキしながら過ごしている。
ピロリン
妙
[今日はまちに待ったお祭りねぇ♪]
神楽
[高杉と行けてよかったナ!それも二人で!]
[人事だからって!こっちは心臓バックばくいって死にそうなんだよ!?]
神楽
[ファイト!]
ファイトじゃねーし!
そして夕方。
私は昨日出しておいた白から紫になるグラデーションの浴衣を取り出した。
ちょっと地味かな?まぁ蝶とか入ってるし大丈夫だよね?
私は浴衣に腕を通し、自分で着た。
お母さんには友達と行くって言ったから大丈夫だろう。だって高杉くんは友だちだし。
『友だちかぁ…』
母「咲耶ー!そろそろ行かないと待ち合わせまにあわないわよー!」
『わかったー!』
私はお母さんに言われ、少し髪を直し、家をでた。
ついたのは6時10分。10分遅刻!!
駅の時計台で高杉くんは待っていた。なんかいつもと違うからなんかなぁ…
よ、良し!行こう!
『た、高杉くん!ごめんね。遅れちゃって』
高杉「…っ!いや。俺も今来たところだから。」
そうだったんだ…てっきり6時ピッタシには居て、10分も待たせてたかと思った。
私達は電車に乗って学校の近くの河川敷のお祭り会場へ行った。
『人多っ!』
高杉「祭だからな」
私の目の前に手が差し出された
高杉「はぐれんなよ」
と言って高杉くんは私の手を繋いだ。
屋台をたくさん回って、たくさん笑った。高杉くんもいつも以上に笑っていた気がする。
おっさん「よぉ!そこの彼氏君と彼女ちゃん!射的やってかないかい?」
射的かぁ。
高杉「やるか」
『マジで。私はいい。マジクソ下手だから』
高杉「喧嘩はめっぽうつえーのにな」
『るさい』
高杉くんは銃を構えた。その姿がなんともかっこよかった。
パァンと銃の音が鳴り響き、景品は落ちた。でもそれはブレスレット。また子ちゃんにあげるのかな?
高杉「新井。どっちでもいい。手ぇ出せ」
『えっ。う、うん。』
初めて新井って呼ばれた。
私はそのことで頭が一杯になった。そして咄嗟に出した左腕にはさっきの景品のチャームブレスレットがついていた。
『っ!これ!』
高杉「やる。」
『意味、わかってる?』
高杉「ああ?」
わかってないみたいだ。これの意味気づいた時の高杉くんはどんな反応をするんだろうか。