第18章 問題は山積み
そう聞いたリヴァイは泣き出しそうな顔をしていた。
『地下街で立体起動を使うゴロツキがいるって聞いて、それが本当ならどこかの兵団から盗まれたのに報告されてないって事になる。でも、兵団に納品される前に横流しされた物だとしたらそれが横領の証拠になる。だから、わざと泳がせた。すぐに捕えてしまう事も出来たけど、それを逆に利用してより確実な証拠を得るためにニコラスを引っ張り出す餌にしたの。君達を捕えて調査兵団に入団させる、って言ってね。結果は知ってるでしょ。横領が明るみになると思った奴は動いた。ただ、予想外だったのは君達に証拠の始末まで依頼したことね。』
ガタガタ煩いはずの馬車の音が遠くに感じた。
沈黙が続いて、お互いに視線を外したままどのぐらいの時間が過ぎただろうか。
「…安心した。俺達はアンタに裏切られてなかったんだな。」
『どうだろう、私は奴が君達に証拠の始末を依頼した事も知ってた。君達がエルヴィンが持っているフリをしてたそれを狙い兵団にいる事も知ってた、だからあの壁外調査にも参加するだろうと予想も出来た。それに壁外調査に出たら死ぬって事もわかってた。』
「それを決めたのは俺だ、アンタじゃない。」
『そう決めるしかない状況にしたのは私だよ。』
「かもな、でも選択したのは俺だ。」
『リヴァイの大事な仲間を見殺しにした。助けられたかもしれないのに、何も出来なかった。』
「違う!アンタは救ってくれた!!」
そう強く言って立ち上がるリヴァイに合わせたようなタイミングで、馬車が大きく揺れて彼の身体が車内で倒れそうになった。
咄嗟に私は手を伸ばす。
鈍い痛みが後頭部に走り、背中と腰に二人分の重みがのしかかって軋んだ。
『…ぃったぁ。大丈夫?』
視界がグラグラするのは馬車そのものが揺れているせいだろう。
私の身体がクッションになったはずだ、もし怪我をしていたとしても酷くはないはず。
「…アンタはバカだな。」
ゆっくりと起き上がろうとするリヴァイに安心した。
自分もちゃんと体勢を直そうと手をつくが、それを押さえ付けられる。
『ちょ、なに?』
「もう俺なんかを助けようとするな、バカ。」
初めて見たリヴァイの笑顔だったのに、距離が近過ぎて焦点が合わずに歪んでしまった。
勿体ないなぁ、とぼんやりと思ってしまい彼のキスを拒む事を忘れていた。
