第2章 ココロの休息
「…ニヤニヤ笑いやがって。何を話してやがる。」
スープの豆を奥歯で必要以上に噛み潰す。
彼女の見張りというか、出来の悪い上官のおもりで嫌でもエルヴィンと話す機会も増えた。
それ以上に彼女と過ごす、いや、過ごさざるおえない時間も増えた。
いけ好かない男だと思っていたエルヴィン・スミスという男が何を考えているのかも嫌が応にも理解し始めている。
そんな二人のはずが自分がこうして離れてしまうとまるでわからない。
「え?だから巨人に…。」
リヴァイの独り言にハッと返事をしたハンジを無視して席を立つ。
乱雑に食べおえた食器を食堂に返すとその場を足早に去っていった。
残されたハンジは、キョトンとした表情を浮かべていた。
ザワザワと腹の奥の辺りが落ち着かない。腹立たしいが何が原因なのかもわからない。
訓練場にダメにしてしまったブレードが何枚も落ちる。
リヴァイの八つ当たりのような激しい訓練の様子に他の兵達は恐怖にも似た感想を抱いていた。
無機質な金属のぶつかる音と共に大木が薙ぎ倒される音が森の奥から聞こえてくる。
これでは訓練と言うよりも無駄な自然破壊。
このペースで続けられたら二、三日したらこの森はスカスカになってしまいそうだ。
『あちゃー。派手だなぁ。』
折れたブレードを拾い上げ傷を見たアゲハは苦笑いを浮かべる。
確かにリヴァイは強い。
立体起動の身のこなしも速さも文句の付け所がない。
だが、特殊な持ち方をするブレードとその一撃にかかる衝撃は素直には褒められなかった。
消耗品だとしても、リヴァイの今のスピードでダメにしていたら実戦では、壁外では補給まで持たない事も出てくるだろう。
「アゲハ隊長、執務は終わったんですか?」
『終わったよ。そういつもいつもじゃないんだから。』
彼女の登場に第三分隊集合の声が響く。
朝食後、本来の訓練開始の時間に彼女がちゃんとやってくることは稀だ。
各班の班長は各自自主トレーニングをしていた班員達に集合の合図をした。
それが聞こえたのだろう、リヴァイも立体起動で彼女の前に現れる。
しっかり整列し敬礼をする兵達を気まずそうに横目で見たリヴァイだったが、敬礼することはなかった。
本来なら上官として厳しく注意しなければならないが、彼女は全くそんなそぶりは見せなかった。