第2章 ココロの休息
「おい!アゲハ!」
『あ〜おはよう、リヴァイ。』
「寝惚けた面してんじゃねぇ!お前、昨日掃除当番忘れやがったな?」
『…?』
態とらしく視線を反らしリヴァイに呼び止められたことすらなかったことにしようとしているアゲハの襟首を掴むリヴァイ。
「お前が忘れやがった分、俺達がやっといてやったんだ。」
『あぁ、そうなの。ありがとうね、みんな。』
いえいえ「いつものこと」ですから、と他の兵達は笑ったがリヴァイは相変わらずの仏頂面。
ダメな上官アゲハとリヴァイの言い争いは最近の調査兵団の名物になっている。
初めこそみんな慌てて止めようとしたり、リヴァイに注意する奴もいたがすっかり日常になってしまった今は誰も気に留めていない。
「ったくエルヴィンはあの女にどんな躾してんだ!」
「アゲハとは入団の時からの仲間なんだけどね、彼女ってばさー。」
朝食をエルヴィンと同じテーブルでとっているアゲハを見ながらリヴァイは愚痴る。
ハンジはパクパクとパンを齧りながら思い出話しを始めた。
かなり訓練が厳しいと噂されていた南部の訓練兵団を経て調査兵団に彼女が入ってきたのは五年前のこと。
僅か一年で訓練兵団を首席で卒団。座学も立体起動の身のこなしも当時群を抜いていた。
厳しい環境で叩き上げられ、彼女自身も相当厳しいと思いきやこれだ。
当時最年少13歳で兵団入りした彼女は、何を考えているのかイマイチつかみどころのない少女だった。
「アゲハって最初っからあんなだったよ。だからいつも上官に怒られててさ。」
罰掃除に罰走り込み、飯抜きになっていた事も多々あったとハンジは笑う。
だが、いざ壁外調査となると別人になる。馬術も見事なものだ、あれだけ座学を嫌がるのに作戦や陣形は完璧だった。
それに彼女が分隊長になってから彼女の隊から殉職した兵は一人もいない。
「それに、アゲハって『超絶イケメンの巨人に出会いたい』とか言っちゃう変な子でさ。」
そこまで話すとハンジの話は彼女の事から巨人のことへと脱線してしまう。
そもそも巨人に男女の性別があるのか、仮に彼女の言うイケメンがいるとしたら、それはそうとうな体長になってしまうのではないか。
睨みつけるようにエルヴィンと談笑しながら食事をしている彼女をリヴァイは見ていた。