第3章 距離
「こんな馬鹿げた事を考えたのは上の連中か?」
『んー、上の上、かな?団長やエルヴィンではない、と彼等の名誉の為に言っておくよ。』
特区から特区まで補給なしで壁際を調査、寄ってくる巨人を排除しろだなんて死ねと言っている様なものだ。
背後には壁、前から巨人。逃げ道はない。
だが、立体起動があるから最悪は壁上退避、ってのが机上での作戦。
馬を捨てすぐに壁上へ、とは書かれているがタイミングを間違えたら死ぬ。
それにガスの残量が足らず、アンカーが届かなくても死ぬ。
まして自分は索敵班が見つけた巨人を調査班へ近付かせない攻撃班。
『まだいつこれが実行されるのかは決まってない。けど、そう遠くはないよ。だからリヴァイには明日から別メニューの訓練に参加してもらう。』
稀に見せる上官の顔だ。
だが、この命令は素直に聞けない。
俺は俺のやり方で戦うと決めている。
『そう怖い顔しないで。何も君のやり方を変えさせるわけじゃないから。』
「なら何だってんだよ。」
『私が直々に教えるよ、立体起動の特殊な体捌きとブレードの長持ちのさせ方。』
「お前が?」
ちゃんとキース団長にもエルヴィンにも許可は貰ってるから、とアゲハは笑った。