第19章 絶妙な関係
「いつまでも駄々こねてんじゃねぇよ、ガキ。」
『な?ガキ?!』
先に馬車に乗ったリヴァイが不機嫌そうに言った。
それに言い返しながら乗り込むアゲハと、兄弟喧嘩を見守る父親の様なエルヴィンがそこにはいた。
兵団幹部二人とリヴァイが留守になる間を、ハンジとミケが任された。
二人に見送られ馬車は王都へと向かって走り出す。
「それにしてもエルヴィンの嫉妬深さはハンパないね。」
「嫉妬?」
完全に馬車が見えなくなるまで見送ったハンジは呟いた。
「たぶん、リヴァイがいるから余計だろうけど。」
あぁ、とミケも思い当たる事があったのだろう。
「何も無けりゃいいけど。」
「無いだろう、そこまで馬鹿じゃない。」
ずっと絶妙な関係を作って来たのを側で見ていた二人だからこそ、今の三人が危ういのがわかってしまう。
何もなければこのままだろう。
けれど、ほんの僅かな事でも何かがあればどこかが壊れる。
「さて、戻ろうか。」
きっと今回の王都行きで、また莫大な支援金を得て来るだろう。
そうなれば、壁外調査に出られる日が近付く。
いつその予定が立っても動ける様に、今は少しでも力を付けておかなければならない。
「それにしても似合ってたなぁ。きっと刺激に飢えたご婦人方のオカズにされちゃうね、アレは。」
ハンジはそう言うとまた、クスクスと笑っていた。