第5章 GIRLS
私と雪ノ下先輩は時々一緒に帰っていました。
朝は、時間が合わず、別々です。
雪ノ下先輩には部活の朝練があるからです。あの日、あの電車に乗ったのはたまたま寝坊したからだそうです。
帰りは、たまに時間が一緒で、一緒になる時は大抵遅い時間なので「女の子がこんな時間に一人で歩いてたら危ないよ?」と言われ、一緒に帰っています。
方向も同じですし、断る理由なんてありません。
大抵はその日にあったことなどを話しながら、時間は過ぎていきます。
駅まで大体15分、電車内で大体15分、合計30分くらいの時間です。
けれど、彼の友人というのは至る所にいて、彼はそちらに応えます。
だから、私と彼が一対一で話している時間というのは実質一日10分ほど。
別に特別な関係ではありません。
私にとっては、ただ一人の話せる男性ですが、
彼にとって私は、たくさんの友人のうちの一人か、
ただの知人に過ぎないのでしょう。