第4章 理想はKO
驚いてるっていうか、戸惑ってる。そらそうか。もうそっち系の話は一切してなかったし。あえてしないよね。むしろ避けるか、こういう場合。
でも俺は聞きたい。むしろ聞きたい!つーか、俺以上のヤツじゃなきゃ、納得いかないからね?俺はっ!
「…えっと」
「もういいじゃん。ね?俺もぶっちゃけたんだし、芹奈もさ。思い切ってパーッとさ?」
「えええ~…?」
「で。どんな人」
「…」
黙っちゃった。ま、当たり前か。
「何だよ~。あ、別に俺、その人逆恨みとかしないから。『一発ぶん殴らせろ!』とか言いに行ったりもしませんから。ね?教えてよ♪」
「で、でも…」
「どんな人かだけ!ねっ?ざっくりでいいから!」
「…」
「歳は?近い?芹奈と同じくらい?」
「…う、うん」
じゃ、俺とも同じくらいってことだ。同世代だし。
「フ~ン。じゃさ、じゃあ…好きになってから、どんくらい?」
「…1年ちょっと…くらい、かな…」
「へ~…」
…それも俺と同じくらいじゃん。
「仲は?イイの?フツーに喋ったりとかするカンジ?」
「ん、ん~…。まあ、まあ…?」
「なんだ。じゃ、言っちゃえば?好きですって。仲いいんでしょ?」
「…そういうんじゃ、ないもん」
「わかんないって。ね?レッツアプローチ!」
「無理」
「早ぇな!」
「だって。無理だもん」
「えええ~?そぉ?」
臆病ですなぁ。俺を見習って欲しいよね?まったく。ていうか、むしろ当たって、いっそ砕けちゃえば―…って。ウソウソ。そんなこと思ってないけどっ。