第7章 長い1日の終わり
〝誰に主に付くとか聞いてんの?〟
〝いえ、その辺はハッキリとはまだ。ですが、ドラマでの露出が増えた大和さんか、MEZZO"か、どっちかに付いてもらえたら助かるって紡ちゃんが言ってまして、社長もいきなりあまり多くを任せるのは大変だろうから最初は1人2人に専属で付いてもらう方が慣れやすいかもね、と〟
〝そっかー、お兄さんの専属とかなんか響きいいね〟
〝まだ決まったわけじゃないですってば〟
〝残念~笑。今は何してる?時間大丈夫なのか?〟
おちゃらける大和さんにツッコミを入れてテレビに目をやる。
主人公が家を借りる、と言ってもあまりとお金に余裕はない為、主人公の両親の知り合いである教師の両親の家に居候、と言う形で住まわせてもらっている。家に来てから初めて鉢合わせてその事実に気付く2人だったが、最初はお互い素っ気ないまま。誤解されることを避けるために学校でも今まで通りを心掛ける事の約束を交わすシーンの後にCMが入った。
CMはスキップしてもよかったのだが、返信するのにちょうど良かった為そのままにしてある。
〝ドラマ見てます、時間は大丈夫ですよ〟
〝へー、あんまそう言うの見ないタイプに見えた〟
〝悔しいですがその通りですよ、でも今後の為にも皆の活動は見ておきたいので〟
〝ん?ちょっと待って〟
〝それってどういう事かな?〟
〝え?リアタイで見てる?〟
余程焦っているのか、立て続けにポンポンと送られてくるラビチャ。これは面白い。ささやかな反撃といこう。
〝いえいえ録画したやつ見てますよ〟
〝今日から始まったもので〟
〝女子大生と恋愛をする若い大学の先生のお話で〟
〝タイトルは確か……〟
私がニヤニヤしながらタイトルを打ち込んでる間に、その画面が勝手に切り替わる。ピリリリリ、となんとも味気ない音が鳴り響いた。
〝着信:二階堂大和〟
淡々と攻撃する私にテンパったのか、電話をかけてくる大和さん。
操作ミスにしろなんにしろ、取ってからかってやろう。
「ふふ……もしもし」
『あのさぁ、お兄さんそう言うの恥ずかしいんだけど』
スマホ越しに聞こえる声は、ちょっと怒ったようにしてあるものの、明らかに照れくさそうな声色で。
まるで来ないでと言った学祭の出し物をこっそり見られた思春期学生の反応の様でとても面白い。