第4章 挨拶回りと初仕事
「おはようございます、改めましてよろしくお願い致します!」
事務所に入り、元気に挨拶。社長は出かけているのか今はおらず、万理さんと……綺麗な顔立ちの外国人……六弥ナギさんだけ。
流石に全く知らないのも良くないから朝早く起きてかなり調べまくった。おかげで顔と名前が一致するようになり、なんとなく持ち味もわかってきた……気がする。あとは本人達とうまく打ち解けるだけだ、頑張ろう!
「おはよう、今は昨日いなかったメンバーがいるから、挨拶してきてね!昨日いたメンバーも後で会ったら改めて話してあげるといいと思う、俺からもワンクッションは入れてあるから安心してね」
「はい、お気遣いありがとうございます!!」
「ふふっ、あんまり固くならなくていいからね」
あくまでも優しい万理さん。そんな中そろそろ無視出来ないレベルになってきた痛いほどの視線、待てでもされてるのだろうかと思う程全力でうずうずしている……そう、ナギさんだ。
アイドルとの立ち位置もわかんないし、とりあえずさん付けで呼ぶべきかな、との考えだけど、こんな立場になった事ないから考えてもみなかった。
「あの……六弥ナギさんですよね……?」
「バンリ……もうワタシ呼ばれたからいいですよネ?」
「ナギくん、程々にね」
何のことだろうか、英語!?もしかして外国語で話される!?私英語苦手なんだよ……勘弁して欲しい……とか思っていたのも束の間だった。
「Oh!とても美しいマイプリンセス!ワンダフルデース!高嶺の花のように触れられない花より、高原の丘に咲く1輪の親しみやすい花の方がワタシは愛おしく思いマース!」
「へっ?あの……え?」
何語?と言うか何事……??おかしいな、日本語話しているはずなのに何故か全く会話が成立していない。
「アナタのような美しい方にお会いできて、そしてこれから一緒にオシゴトすることが出来て、ワタシとても嬉しいデス」
それはそれは王子様のような外見で、王子様のように片膝をつき、王子様のように仰々しく私の手を取るもんだから、お姫様って歳でもない私は呆気に取られるしかない。
「麗しいアナタのお名前は?」
「瑠璃華御崎……です……ナギさん」
「御崎……とても可愛い響き、覚えました、マイプリンセス」
なんだこの流れは。