第9章 先輩と後輩と私
「飾り付けは僕達がやったんですよ」
「俺も、王様プリン我慢してちゃんと手伝った。偉い?」
「うん、偉いよ環くん!僕の届かないところとかも自分から手伝ってくれて本当に助かったよ」
「へへ……ルリちゃんに喜んで欲しくてさ、ちょー真面目にやった」
素直に嬉しがる環くんと、それを見て嬉しそうな壮五くん。この様子なら、確かに私がマネージャーとしてつかなくても大丈夫そうかな。でも成長を見ていたいなって思う……のはまぁみんなの事も同じように見ていたいか。
「そうだ、そう言えばお父さんが御崎さんがマネージャー担当するのを決めるからって言ってたんですけど、もう決まったんですか?」
「あ、うん決まったよー」
と、紡ちゃんの一声でシーンとなる。
そんなに見られると言い難いんだけど……。
「えーと……大和くんの専属だって」
「えーー!」
そうなんですね。と呟いた紡ちゃんの言葉よりも、環くんの声の方が大きかった。
「俺、ルリちゃんが専属マネージャーがいいー!!うまい飯食べたいー!」
「環くん!ワガママ言わないの!それに美味しいご飯はマネージャーじゃなくても御崎さんが作ってくれるから!」
「えーでもルリちゃんと一緒がいいー」
「た、環くん……ほら……ええと……ね?」
「何が、ね?なんだよ、そーちゃんだって……御崎さんが僕達の専属マネージャーだったら嬉しいね、って言ってたじゃんか」
「それはっ!それはほら、今のマネージャーは全員見てるから大変だから、その負担少なくなるしってことで……!」
駄々をこねる環くんを宥めようとした壮五くんが、今度は環くんにやり込められている。何だもう可愛いなぁ。こんな弟が欲しかった……。
「よーし、という事で、面倒かもしれないけど今日から俺の世話をよろしく頼むぞー御崎ー!はっはっはー」
「あなたの性格は面倒ですし、その露骨に棒読みな笑い声にどんなイヤミが含まれてるのかは把握致しかねますが、仕事は仕事なんで引き受けますよ」
「ちょっとなんで急に敬語?しかもなんでそんな嫌そうなの、面倒は形だけでもいいから否定してくんない?」
「メンドウジャナイデスヨ」
「うわーお兄さん傷付く」
ケラケラと楽しそうに細められた三白眼。
私の困難はここから始まりそうだ。