第4章 山姥切国広の話 【四振り目】
…なんで俺に聞くんだ。
にっかりにでも聞けばいいだろ。
……どうせ俺が写しだから、陰険な話の一つでも持ってるとか思ってんだろ。
悪いが、俺はそんなモノは持ち合わせていない。
…作り話でも構わないだと?
作り話か。そうだな写しの俺に似合いだな。
どうせ話したって忘れるんだろ?
分かった、話してやるよ。
俺は電話が嫌いだ。
あの黒いグルグル回す奴だ。
…玄関の棚に置いてあるだろ。
派手な布巾載せてるだろ。
あれが嫌いなんだ。
あんたの部屋にある押す方なら、まだマシだ。
黒い奴はいきなりけたたましい音がして、物凄く気に障る。
どうせ俺が写しだから、そうやって機械まで俺を笑うんだろ。
…ふん。どうだっていいさ。そんなこと。
俺が嫌いだって思ったのは、音が原因じゃない。
その向こう側に居るやつだ。
殆ど毎日かけてくる。
こちらが出ても向こうは、うんともすんとも言わない。
ずっと無言だ。
何の用だと問いだしても答えやしない。
俺が写しだからって馬鹿にしているんだ。
最初は暇人の悪戯だろうとほっといていたが、どうやらその電話に出ているのは俺だけのようだった。
本丸の奴らに聞いても、誰もそんな電話に出たことがないって言っていてな…。
その時少し気味悪いと思った。
その時はたまたま俺が居る時に掛かってきているだけだろうって、思うようにした。
刀の付喪神が無言電話で気味悪がっていたら、話にならないからな。
第一、本科は本物の山姥を退治しているんだ。
写しの俺なんかと違ってな。
俺はそれからかかってくる電話の頻度と、その時の状況を記録するようにした。
いつ掛かってきているかって。
他にも出ている奴がいるかもしれないだろ。
…だがそれもすぐに捨てた。
取っていても意味なんかない。
確実にあの電話は俺が一人の時に、鳴っている。
取らなければいいだけなんだがな。
取らなければ取らないで延々となる。
俺が一人だから、取らないといけないだろ。
あんたへの至急の要件かもしれないからな。
相手もそれを知っていてか、陰険な奴だ。
言いたいことがあるなら自分の口で言えばいい。
それなのに一々電話など…。
…いつから無言電話が鳴っているかって?
そうだな…確か、第二部隊が結成されたあたりか。