第12章 いただけないか(有栖川誉)
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何分くらい、落ちていたんだろう。
なんでかショーツを脱がされていて、全裸で布団が掛けられていた。
誉さんはシャワーなのか、部屋を見渡してもいない。
最後、誉さんなんて言ったんだろう…
気になって気になって、唸っていたら下着だけ履いた誉さんが戻ってきた。
「いづみくん!やっと目覚めたか…良かった…」
「おはようございます、誉さん」
「……おはよう。お湯を溜めたんだ、一緒に入ろうじゃないか」
「はい!」
誉さんが溜めてくれた湯船にゆっくり浸かる。
あ、そういえば。
「なんで私のショーツ脱がせたんですか?」
「………私ので汚してしまったからね、簡単にだが勝手に洗わせてもらったよ」
ああ、そういえばゴムをしていなかった。
汚したということは、中には出してないのか。少し安心。
「…外には出したが、万が一があっても心配はしないでくれたまえ。喜んでいづみくんの姓を有栖川にしようじゃないか」
「…約束ですよ」
「もちろん。いづみくん…愛しているよ」
あ。
最後に誉さんが発した言葉って。
私も、愛してます。
そう言って2人でまだ少し冷えてる身体と、また少し暖かくなってきた気持ちを湯船で温めた。
end