第14章 ゆらゆら
S side
やっとやっと、潤が動いた。
ずっとずっと待っていた。
俺は狡いんだ。潤の気持ちを知っていて待っていた。
唇が触れた時、本当はすぐに目が覚めた。
自ら少し唇を開き舌を見せると
誘われるように絡み付く潤の舌。
されるがまま・・の振りをする。
俺が追い掛けて潤が逃げてしまうのが怖かった。
だから潤が気持ちを伝えてくれるまでずっとずっと待っていたんだ。
もうどこにも逃げられないようにして・・捕まえる。
「じゅん・・俺のこと離さないで」
ギュッと抱き締められた身体。
誰にも渡さない。
もしお前がよそ見したら
お前を一生許さないよ。
天使のような微笑みの影に
悪魔のような醜い心を隠して生きていく。
end