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A3!【短編】

第2章 忘れ物【碓氷真澄】




『いってらっしゃい』

と高校生たちに言う前に戻りたい。

カレーに気を取られていた自分を
今回ばかりは殴ってやりたい。

(届けなきゃ・・・)

至「あれ、監督さん?
難しい顔してどうしたの」

『ああ、至さん』

出勤前の至さんが大儀そうに
でも気にしてくれている様子で
声をかけてきた。

『実は、真澄くんが
カバンを置いて行っちゃったみたいで』

カレーにキリがついて
軽く床を掃除でもするかと
クイック●ワイパーを
手に取ったところで
ソファーのクッションに紛れて
置き去りにされたカバンを
見つけてしまったのだった。

至「真澄は寝ぼけすぎだな」

『わかってはいたんですけど・・・』

至「監督さんのせいじゃないよ。
会社行くついでに届けようか?」

『でも、ちょっとは責任あると思うので、
私、届けには行きます。あ、でも・・・』


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