第15章 言えない口
1日の終わりにする仕事をする為に洗濯場に入る。
(今日は疲れたなぁ…)
クリーニングから戻ってきた下着やらシャツ隊服が沢山ある。
みわ
「よし…」
さっそく始めようと手を動かしていると、
"ガラガラ"
誰か入ってきた。
みわ
「あ……」
夕方の姿のままの斉藤さんだった。
斉藤
「手伝う」
斉藤さんは昨日やった下着の仕分けをやり出した
みわ
「ありがとうございます……」
横で黙々と作業をしている斉藤さんを見ていたら…
私の涙腺はついに…決壊した…
(どうして…こんなに斉藤さんは私に良くしてくれるんだろう…)
すると斉藤さんが私の着物の袖をたくし上げ
沖田さんに強く握られて出来た赤い跡を見た。
斉藤
「総悟は設立当初から女中を雇う事に反対していたから、
直ぐにアンタを受け入れられないんだろう…
こんな風に酷い事をするのは沖田なりに、
真選組の女中に相応しいか試しての事…許してやって欲しい。」
(…なんだ沖田さんを庇いに来ただけだったのね…
私ってば勘違いして慰めに来てくれたって勘違いして…)
みわ
「…はい…」
私は溢れ落ちる涙を見送りながら無心でシャツを畳む事にした。
ひと通り作業が終わる頃には
私の涙腺の決壊は治っていた。
みわ
「手伝ってくれてありがとうございました。
おかげさまで早く終われました。」
斉藤
「ああ。」
みわ
「それでは…おやすみなさい……」
私は終さんに頭を下げて洗濯場から出た。