第32章 灯火
篠原
「…さっきは……すまなかった……」
荒い吐息で話し始める篠原さん
みわ
「…はい…」
篠原
「…俺……ほんと馬鹿だよな…まんまと伊東に利用されて……捨てられて……」
みわ
「…篠原さん……」
篠原さんは力なく私の背中に両手を回す
篠原
「…最期に……君に…謝れて良かった……」
みわ
「………」
篠原
「…すまないが…少し疲れたから……君の胸の中で……寝かせて………」
みわ
「……はい…篠原さん……」
私は篠原さんを優しく両腕で包む
安心しきったような表情を浮かべ…
まるで母親に甘えながら眠ってしまった子供のように……
篠原さんは静かに息を引き取った。
みわ
「…篠原さんッ………おやすみ……おやすみなさい………」
暫く…
私は篠原さんを胸に抱き泣いた。