第1章 宝物
【後日談〜黄昏、ドクタケ編〜】
「な、何ー!?これで何度目だぁ!?何て事だ」
「もう辞めましょう、5日も連続で橋が落ちる等祟りとしか…」
「殿があの夜景の綺麗な場所が良いと申したのだ!…し、しかしやはり不吉、か」
「はぁ…、折角美味しいお酒も沢山用意したのになぁ」
ドクタケ城の忍び達が谷の下で嘆き慌てている頃、その上の崖には黄昏時の忍隊が口元を緩め姿を眩まれていた
「組頭、忍務完了です」
「忘年会の予定が滞り、奴らは計画を立て直す模様です」
「そう、ご苦労様」
部下たちからの報告を水筒をすすりつつ返事をした雑渡昆奈門はホッと笑みを浮かべる
「組頭、何故今回この様な依頼を引き受けたのですか?ドクタケの忘年会など我が城には何の関係もないのではないかと」
「彼らがあの場所で宴会なんてしたら森が汚れるからね、あの付近は忍術学園とも近いし」
「まさか組頭…」
昆奈門の部下、尊奈門は今回町人にふんしてドクタケ城の忍びに接触、情報収集のにんを請け負っていた。
その途中、何故か昆奈門がひょっこり現れたと思えば、忍術学園の良い子たちと話していたが、また彼らの為にコッソリと手助けでもしたのかもしれない、等と口がさけても言うつもりはない、普段穏やかな組頭も忍務となると豹変する一流の忍びなのだ
「今頃、何をしているのかね…」
ぼんやりと空を見上げつつ、昆奈門は穏やかな笑みを浮かべ姿を消したのだった