第3章 Valentine
2月14日。
は昼間の内に毛利探偵事務所に向かい、小五郎にチョコを1つ渡した。
そして一階降りてポアロのマスターと梓に。
夕方になると、は帝丹小学校へ向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──コナンside
学校が終わり、下校時刻になった。
コナンはいつものメンバーと共に帰ろうと校門へ向かう。と、そこには見覚えのある人物がいた。
「……姉ちゃん!?」
「よっ」
ひらひらと手を振るのは──我が姉であるではないか。
「何してんのこんな所で」
「みんなに渡したい物があってね」
言いつつは持っていた紙袋をガサガサと漁り始めた。やがて目当ての物が見つかったらしく、「あったあった」と言いながら箱を5つ、コナン達の前に差し出した。
「はいっ!Happy Valentine♡」
「「「「「へ?」」」」」
コナン達は声を揃えて、きょとんとした。
「あ、あれ?今日バレンタインだよね?」
「ええ……でも何で私達に渡したの?」
灰原に不思議そうに訊かれ、はさらに困惑したような表情になる。
「え、だって……いつもお世話になってるし……ねぇ?」
困ったように笑うに、歩美が明るく言った。
「ありがとうお姉さん!歩美、お家帰ったら食べるね!」
「歩美ちゃん……こちらこそありがとうだよー!」
ぎゅっ、と歩美に抱きつく。それを見て、羨ましくなったのか光彦と元太もに抱きついた。
「あ、そうだ」
は子供達を一頻り抱きしめた後、コナンに向かった。
「これ、APTX4869の解毒剤。……今日にでも使えば?」
「お前……どういうつもりだよ?」
「ん?蘭ちゃんに会いに行けば?って話。せっかくのバレンタインなんだしさ」
が小さくウインクをする。コナンは呆れて半眼になった。
「じゃあね!私まだ渡す人いるから行くねっ」
「またねー!」
は笑ってその場を去ろうとする、だが灰原が不意に訊いた。
「渡す人って誰?」
「ん?まぁ……色々と、ね」
は少し目を伏せて言った。
「珍しいな、オメーが気にするなんて」
「まぁ……気になったから」
灰原はふいっと顔を背けた。