第8章 迷走する恋情(織田信長/裏)
「んんっ…あ、あぁ…っ」
今宵も迦羅は良い声で啼く。
それが堪らなくこの俺を掻き立てている。
声のみではない。滑らかな肌も、触れるごとに増す熱も。
最早すべてが俺のものだ。
「堪えずとも良い。啼け」
唇を噛み、迫り来る快感に抵抗するかのように、迦羅が漏れる声を必死に抑えている。
その姿も思いのほかそそるが、足りん。
「…言うことを聞かぬか」
迦羅の両手首を掴み上げ、抑え付ける。
着物のはだけた胸元を、舌でなぶりあげると、腰を浮かせ抑えきれなくなった甘い声がようやく漏れた。
「んぁっっ…やっ…」
熱く火照るその肌に、下に向かい隙間なく舌を這わせていく。
解放された迦羅の両腕が伸ばされ、俺の髪を無造作に乱す。
「信長…様っ、そこは…だ、だめぇ」
「そこ、とは?」
頭を上げ意地悪く笑ってみせると、迦羅がきゅっと太ももを閉じようとする。
仕方がない。請われるがまま身体を上に戻し、貪るように深く口付ける。
しかしやはり…
俺は貴様のすべてが欲しい。同時に、如何なる快感も与えたいのだ。
一度閉じられた太ももを半ば強引に開き、一際柔らかな場所に指を這わす。また、迦羅の身体がビクンと跳ねる。
僅かに俺を睨みつけるが、わかっている。
指の動きを止めないまま、わざと言う。
「俺に触れられるのがそんなに嫌なのか?」
「ぁんっ…嫌…じゃない、けど…っ」
水音が増すにつれて、迦羅の顔も身体も蕩けていくのがわかる。
「嫌でないなら、何だ」
空いている片腕で迦羅の頭を抱え、耳元で更に問う。
「…もっ、身体がおかし…っくなっちゃうからっ…」
甘い吐息も堪えきれないほどに俺を感じていると言うのに。
今更何を言っている。
容赦してやる気はない。
「おかしくなどなってしまえばいい。共にな」
一旦這わせた指を離す。
両腕を迦羅の脇につき、この身でその溢れている熱を塞ぐ。
「んんっ、あぁぁっ…!あっっ…」
甘さを増す愛らしい声に、俺の身体も深く溺れていく。
迦羅を征服したい。共に感じたい。
その思いとともに衝動を突き上げる。
どうしようもない熱に犯された迦羅の顎をすくい、その瞬間の顔を見つめる。
貴様の快感は…俺の快感なのだ。