第2章 キノコパニック(ゾロ)
「んーーっ、たまにはこんなバカンスも悪くないわね〜」
伸びをしてビーチベッドに寝転びながらナミが言えば隣にいるロビンが「そうね」と返した。
二人が今いるのはとある孤島の浜辺、航海の途中でルフィが見つけて上陸したのがこの島だ。ログポースも指さない小さな島、その為人が滅多に来ないのだろう自然がそのまま残されておりまさにリゾート地にはもってこいの島だった。
「ンナミさァ〜ん、ロビンちゅわァ〜ん!」
海を眺めながらバカンス気分を満喫しているとサンジが目をハートにしてやって来た。
「お待たせ致しました…こちら本日のお飲み物バティーダ デ カカオとミドリ パッシュで御座います」
鮮やかなオレンジと赤の飲み物が慣れた手つきでテーブルに置かれる。
「ありがとサンジ君」
「どう致しまして……どゅふふ」
思わず顔が緩む、鼻の下は伸びるとこまで伸びなんとも情けない表情にサンジはなっている。
それもそのはず今サンジの目の前のナミとロビンはセクシーな水着姿で惜しげも無くいつも以上に素肌を晒している、女性には目がないサンジには眼福この上ないだろう。
締まらない顔のままサンジはあと一人、目的の人物を探す。
「…あれ?ナミさん、ユナちゃんはどこ行ったンだ?」
「ユナならルフィ達に連れられて一緒に島の中に入ってったわよ」
「なんだって⁉︎」
言われて初めて気付く、ナミとロビン以外の仲間が見当たらない事に…そもそもサンジの視界には女性陣しか映っていないのだが。
島の中とはつまり目の前に広がる草木が生い茂った森の中、人の手が加えられてない分森というよりはジャングルに近いだろう。そんな中にユナちゃんを連れて行くとは…怪我でもしたらどうするんだとサンジは独り言ちた。
「大丈夫でしょ、こんな孤島でトラブルなんていくらなんでも起きないわよ」
「ふふ…心配性ねコックさんは」
ナミに諭されるも心配なものは心配だ、探しに行くという手もあるが女性二人だけを置いて行くのも気が引ける、仕方なくサンジはユナの帰りを待つ事にした。
手元に残ったユナのドリンクだけが虚しくカランと氷の音を立てていた。