第2章 初期刀
加州「着れたぁ~?」
襖の向こうから加州の声が聞こえる。
服を受取った後、着替えるため一度加州には部屋の外に出てもらった。
加州が持ってきた服は審神者の正式衣装らしい巫女服だった。
普段和服なんて夏の浴衣くらいしか着ない現代人には何とも着づらい一品である。
「ん~もうちょっと~」
返事をしながら悪戦苦闘しているとまた襖の向こうから難しいなら手伝おうかぁ?と声がした。
出会ったその日に服を着させられるとかどんなプレイだよ!と内心突っ込みながら服を整え、もう着替え終わったよ。と告げると同時に襖が開いた。
加州「な~んだ、残念。」
こいつ開ける気でいたな。
さっきは抱きしめられて照れてたのに。
加州は悪びれた様子もなく普通に部屋に入ると七葉の前に座わり七葉にもとりあえず座るように促す。
加州「それで、えっと、さっきの話の続きだけど巫女服も着てくれたし主になってくれるって事でいいんだよね?」
改めて聞かれ返事をする。
「うん。現実と行来できて私で審神者として役にたつなら。」
加州「良かった~。これで断られたら他のヤツ出し抜いて来たのにどうしようかと思った。」
出し抜く?心底ホッとしたような加州を見ながらふと疑問に思う事が1つ。
「ねぇ、加州?」
加州「ん?なぁに~主。俺今超機嫌良いから何でも聞いていいよ~?」
話しかけると心底ご機嫌な加州がニコニコと返事をくれる。
「じゃあ1つ質問なんだけど、初期刀って確か審神者が最初に選ぶんじゃ、、、」
加州「げッ、、、」
げッって言った。今げッって言ったよこの子!
「、、、えっと、、あのぉ、、」
加州「、、、」
目の前で手を振るがフリーズした加州は一向に反応しない。
「、、、べっ別に加州が嫌だって訳じゃないんだよ?選択制でも私加州を選ぶだろうし!ただ、他の初期刀候補ってどうしてるのかなぁ~?とふと思っただけで」
あまりに動かない加州にまずい事を聞いてしまったのかと慌てて真意を説明する。
が次の瞬間、沈黙を破ったのは加州ではなく加州を呼ぶ声であった。