第17章 函館
目が覚めると、本丸の布団に寝ていた。
起き上がろうとすると右手が引っ掛かり、加州の左手と結ばれている事に気づく。
どうやら何の問題も無く、二人でゲームに戻って来れたらしい。
「加州、起きて。」
加州「ん、、主、もう朝?って、、あっ!」
驚いている加州に返事をする。
「うん、戻ってきたみたい。」
すると、何やら部屋の外が騒がしい事に気づく。
どうやら乱達が、七葉を探しているようだった。
「ど、どうしよう?」
流石にこの状況を見られるのは、よろしくない。
七葉は慌てるが、加州は特に何ともない感じで答えた。
加州「流石に部屋の中まではこないでしょ?」
しかし加州のその発言と同時に、沖田組の部屋の戸が開いた。
乱「加州~、主さん知らない?」
薬研「だから行きなり開けるなって、、、おい、こいつは何だ?」
「あっ」
1つの布団で向かい合い、手首をつないで座っている状態を目撃され、七葉は別にやましいことは何もないが思わず目をそらす。
乱「2人とも、何してるのさ?乱れるならボクも誘ってよ!」
何を思ったのか飛び付こうとした乱を、薬研が寸前の所で引き留め加州に鋭い視線をおくる。
薬研「加州の旦那、ちゃんと説明してもらうからな。こととしだいによっちゃ旦那でも、、」
加州「あぁ~、はいはい。」
何だか不穏な空気だが、七葉はその隙に手首の布をといて立ち上がった。
「私、顔洗って着替えて来るから。」
逃げるように沖田部屋を出ると、そのまま自室に戻って扉を閉めた。
加州には悪いが、あの場で平然と受け答えができるほど私のメンタルは強くない。
苦笑いしつつ支度をして部屋を出ると、ふて腐れた加州と晴々とした薬研、つまらなそうな乱の姿があった。
加州「もう主、なんで逃げるかなぁ。」
「ごめん。何か、いたたまれなくてつい。」
薬研「まぁいいじゃねぇか、誤解も溶けたんだし。」
加州「お前が言うなよ。」
2人の様子にいったい何があったのか気になるが、あえて聞くのはやめておいた。
乱「あ~ぁ、もっと面白い展開を期待してたのになぁ~。」
こっちはこっちで、いったい何を考えているのかさっぱりわからない。
そんなことを考えながらふと、そう言えば先ほどから五虎退の姿が見えない事に気づく。